大判例

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大阪高等裁判所 昭和33年(う)843号 判決

所論は要するに原判示第四ないし第六の各(一)の入出国者携帯物件申告書に押されている印章は税関業務部等のもので正式の税関の庁印ではなく、このような申告書では自動車の新規登録は許されず、同時に提出された輸入申告書によつて許されたのであつて、右入出国者携帯物件申告書は道路運送車両法第七条第一項にいわゆる「輸入の事実を証明する書面」には当らない。従つて自動車の新規登録及び検査に関する書類中に綴られている右申告書を抜き取つても右書類の効力を滅却させるということはないから、公文書毀棄罪は成立しないというのである。

よつて記録及び押収にかかる関係証拠物について検討すると、原判示第四ないし第六の各(一)の入出国者携帯物件申告書は、いずれも各判示の正規の自動車新規登録申請者がその申請書に税関の庁印のある輸入申告書(輸入免状)とともに添付して大阪陸運事務所に提出し、同事務所に自動車の新規登録の事実を証する書面として、自動車登録及び検査に関する書類の中に綴込んで保管されていたのを、被告人山田が右保管書類の中から抜き取つたもので、昭和二八年六月二四日頃までは外国人が携帯又は引越輸入した外国自動車は、一家族一台程度は関税及び物品税を免ぜられ、これについては道路運送車両法第七条第一項所定の「輸入の事実を証明する書面」として、税関の庁印のある入出国者携帯物件申告書を提出させて自動車の新規登録をさせていたが、同年五月六日付の運輸省自動車局長宛の「従来の取扱を廃止し、この種の自動車については輸入免状によつて新規登録を許されたい」旨の大蔵省主税局長の依頼書(蔵税第六九二号)に基き、同年六月二四日「輸入及び譲受自動車の取扱について」という運輸省通牒(自登第六七号)が発せられ、その後は入出国者携帯物件申告書による自動車新規登録の取扱を廃止された事実があり、被告人が抜き取つた各入出国者携帯物件申告書はいずれも右通牒前の取扱にかかるものであつたが、前記のとおり税関の庁印のある輸入申告書(輸入免状)とともに提出されており、右抜き取つた分を除いても「輸入の事実を証明する」にはこと欠かないことが認められる。しかしながらいやしくも公務所の用に供するものとして公務所に備付けられてある書類の中からその一部を抜き取つてその形式的完全性を毀損するときは、それによつてその書類の証明力に影響を及ぼすことがなくても、刑法第二五八条の公文書毀棄罪を構成するのであつて前記のように被告人山田の抜き取つた入出国者携帯物件申告書が自動車新規登録申請に必要不可欠のものでなかつたものであつても、又それに押されている印章が所論のように税関業務部等を表示するもので、当該税関を表示する庁印でなかつたとしても少しも変ることはない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 万歳規矩楼 判事 武田清好 判事 小川武夫)

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